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今もどっかで。 ユウト 13/10/11(金) 23:45
今もどっかで(2) ユウト 13/10/12(土) 0:14
今もどっかで。(3) ユウト 13/10/12(土) 0:47

今もどっかで。
 ユウト  - 13/10/11(金) 23:45 -
「なぁ、ユウト。お前……オレに会って、良かったか?」

「…どうしたんスか、いきなり。重いっすよ(笑)」

「………。だよな、わりぃ、さ、帰ろうか!」


これが、コウスケ先輩との最後の会話だった。
先輩、ごめん。
先輩の言ってほしかったことぐらいわかってたのに。
オレ、強がったんだ。いつもみたいに。
先輩の覚悟を、踏みにじって、ホントにごめんな。

引用なし

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今もどっかで(2)
 ユウト  - 13/10/12(土) 0:14 -
「おい、2年!もっと声出せ、それで応援合戦に出れると思うな!」

高校の応援合戦は、鬼のような練習ぶりだった。
オレの高校は、春の体育祭の応援合戦が地元では有名だった。
各組の組長は、責任感でピリピリしてる。

「次までにちゃんと練習しとけよ!
 特に各班の班長、自分の班くらいちゃんと見とけ!」

やっと鬼の練習が終わった。そこからの部活が苦痛だ。
別に班の班長だってやりたくてやったわけじゃい。
ただ、野球部なだけで統率力ありそうとかわけのわからない理由をつけられてなっただけなのに、なんで他の奴のミスで怒られんだよ。

そんな鬼の組長の左に黙って立ってた人。
それがコウスケ先輩だった。


「ケンジ、そんな毎回毎回怒鳴んなよ、指揮が下がるだろ?」
「オレだって…別に怒鳴りたくて怒鳴ってるわけじゃ…つい…。」

練習も部活もない日だった。
空き教室で鬼組長のケンジ先輩とコウスケ先輩が話してるのを偶然見かけた。

「お前が一番頑張ってんのはさ、オレが一番よく知ってる。皆もな。」
「…オレ、成功させたいんだ。皆、頑張ってるし…ゴメン。。。」

ケンジ先輩が泣いてた。あの人も、色々考えてんだな。。。

「…飲み物買ってくるから、それまでに落ち着いとけよ?」

コウスケ先輩が廊下に出てきた。

「せ、先輩。」
「あぁ〜、3班の班長だよな?何?聞いてた?」
「すみません、その…通りがかって。」
「ああいうやつなんだ。誰にも言わないであげてくれな。」
「オレ…もっとちゃんと、班の皆まとめます。」
「そうしてやって(笑)そうだ、一緒に売店行こうや。おごるよ。賄賂な(笑)」


その後の応援合戦は、大成功だった。
ケンジ先輩は泣き崩れ、コウスケ先輩に抱き着いていた。

体育祭の後の片付けで、コウスケ先輩は、オレに話しかけてくれた。

「藤本、ありがとな!いい思い出ができたよ!」

これがコウスケ先輩との出会いだった。

引用なし

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今もどっかで。(3)
 ユウト  - 13/10/12(土) 0:47 -
そっからは、コウスケ先輩のことを色々を調べてみた。

・バレー部に所属してたけど、春高予選を区切りで引退していること
・成績が学年でもトップクラスであること
・男女問わず、人気があること

でも、兄弟が何人とか親が何してる人とか、そういうのは誰も知らなかった。

体育祭の後から、今までは気づいてなかっただけで、コウスケ先輩とは色んな所ですれ違っているんだってことを知った。
すれ違うたびに、オレは会釈をし、先輩も笑顔で「ヨッ!」って言ってくれた。
野球部以外の先輩ができたことが新鮮だった。

野球部の練習が終わって、自転車置き場に向かう時だった。
2階の教室から、コウスケ先輩が手を振っていた。

「藤本〜。帰り?オレも帰ろうと思ってたんだけど、一緒に帰ろっか?」
「こんな時間まで、何やってるんですか?」
「自習!塾行ってなくてさ、学校で勉強してんの。ちょっと待ってて!」

夏服姿の先輩が学校の位置口から出てきた。

「ごめんな、いきなり。友達とか大丈夫だった?」
「あぁ、大丈夫ですよ、いっつも一緒に帰ってるんで(笑)」
「マジか、オレ、いっつも一人だ。。。」

先輩は電車通学だったから、駅まで自転車を押して一緒に歩いた。

「先輩は、何学部志望なんですか?」
「あぁ、国際的なことがしたくてさ、そういう感じのとこかな。」
「へぇ、じゃあ留学とかも考えてるんですか?」
「できたら、海外の大学に行きたいんだ、アメリカとかイギリスとか。」
「すごいですね!でも、親さんとか、反対しませんか?」
「……うちは、そういう家じゃないから。。。」

先輩がいきなり暗くなってしまった。やっぱ家族トークはタブーか。

「すいません、何も知らないのに。。。」
「いや、こっちこそ勝手に病んでゴメン!一人で帰る理由、わかる?(笑)」
「いや、そんな…」
「いつか藤本にも話すけど、ま、頑張ってるんだよ、オレも(笑)
 ではではユウトくん、甲子園予選、頑張ってくれたまえ!」

いつのまにか駅につき、先輩は、敬礼ポーズをとって改札に向かっていった。

引用なし

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