部活が終わって部室で着替えていたときに、部室にあるソファで漫画を読んでいた先輩のKさんが、
「最近筋肉ついてきたんじゃね?」
と言ってきました。
「そうっすか?まだ全然ですよ」
と返すと、
「入部したときよりはマジでついてきてると思うよ。」
毎日筋トレをしている成果かな、と少しだけうれしくてちょっとだけ笑顔になったとき、Kさんは漫画を置いて帰ろうとしました。
うしろを通るとき、はがいじめのようにされて
「鍛えろよ」と言われました。
くせのないきれいな髪を短めにそろえて、透明と言っていいくらいの白い頬が笑顔で輝いていました。誰からも好かれる明るい性格で、仕草も洗練されていて、それなのにほとんど女子と話をしたり、からんだりしないせいでより一層男子から好かれる人でした。もちろん、後輩でKさんのことを嫌いなんて言う人は一人もおらず、俺もKさんのことは大好きでした。
(ホントにきれいな人…)
これが俺のいつも思ってることでした。
「やる」のは日課でした。寝る前にやってからじゃないと寝れないくらいでした。最近はあの瞬間に、Kさんの顔が浮かぶようになっていました。
好きというよりは、遠い存在の人で決して会ったりできない画面の向こうのような人だと思っていたので、あこがれの思いの方が強かったんだと思います。