僕たちの話で温かみを感じてもらえてとても嬉しく思います。
最終回までヨロシクお願いします^^
<続き>
卒業旅行を満喫し、俺達のラブラブ度がもう1段階レベルアップした様な気分になりながら、いよいよ大学生という立場から巣立つ日となった。
3月末。
大学のキャンパスは、たくさんの卒業生でごったがえしてる。
俺ときいちゃんは、一昨日お互いに選んでプレゼントし合ったネクタイをしっかりと締めて、大学生として参加する式典会場へ。
霧「中ちゃんはいつ来るって?」
俺「あと5分で来るってメール来たよ。高野も連れて。」
霧「げ・・・高野来んの?^^;」
俺「え?」
霧「だってあいつ、白いスーツで来るとかほざいてんだぜ?^0^; 近くにいんのハズくね?」
俺「ん〜・・・^〜^; まぁ、あいつらしくて良いじゃん^^」
霧「お前はどこまで許容範囲が広いんだ・・・?^^;」
俺「きいちゃんだって、いつもはメッチャ広いクセに^皿^ あ、来た来た^0^」
遠くに目立つ男が視界に入る。白いスーツの高野だ。
それに連れ立って歩く濃い茶髪の中山が、俺達を見つけて近づいてきた。
俺「よ^^」
中「ゴメンね、高野君が遅刻したんだ^^」
高「遅刻ちゃうて。つか相変わらず仲がええなぁ。ぴったり隣同士やんかぁ^皿^」
霧「お前だって中ちゃんといっつもつるんでんじゃん^^」
中「ん〜・・・まあ関西出身のよしみかな^^」
高「そんだけかい!」
高野は大阪から上京してきた、ウーパールーパーを少しイケメンにしたみたいなヤツ。
最近じゃ標準語に飲まれて関西弁がおかしくなってきたらしく、イントネーションがボロボロな時がしょっちゅうある。
でも普段から笑いに走ったり、ツッコミとかえげつないとこはさすが大阪人だなって思うところがある。
今日だって、どこで見つけてきたのか、軽くスパンコールのついた白いジャケットを羽織って、人一倍目立ってる。
霧「お前さぁ、親御さん何て言ってんだよ・・・^^;」
高「え、オカンもオトンも爆笑してた。それええなぁって^皿^」
俺「こいつのこういうとこは親譲りってことだな^^;」
中「だから大阪人はメンドいんだよね^^;」
高「京都のボケナスには言われたないわっ!^^」
中ちゃんこと中山は、京都で色んな土産屋や宿を多角経営してる実業家の息子で、よく八つ橋とか七味をくれたりする。
高野と違ってのんびり屋でおとなしく、実家でも常に標準語を話す、関西弁の話せない関西人。
顔は上手く例えられないけど、結構顔は良い方で、ニカッて笑う顔は三浦春馬の笑顔に似てたりする。
4年間同じ彼女と付き合ってる、一途で優しい奴だ。
口では大阪人の高野をバカにしてるけど、普段から本当に仲良くて、過熱気味の高野のブレーキ役みたいな感じで、絶妙なコンビネーション。
中「そういえば里中君。」
俺「ん?」
中「今日の飲み会って誰来るの?」
俺「えっと・・・俺と、中ちゃんと、きいちゃんと、高野と・・・あれ、これだけだっけ?」
霧「うん。俺他には声掛けてないし。4人の方がいつもみたいで良いかなって思ったんだけど。」
高「サンセー。」
中「うん。自分も4人の方が気楽で良い。」
俺「じゃぁ・・・そういう事で。」
高「つか彼女ほっといてええの?」
中「え、いや今日はご両親とディナーに行くみたいだから、明日2人で食事ってなってる。」
高「ええなぁ〜。俺も招待しt」
中「無理に決まってんじゃん^^; 2人きりで過ごすんだから。」
霧「そうだそうだ〜^皿^ ジャマだジャマだ〜」
高「そんな2人で攻めんなやぁ〜^^;」
俺「俺も同意見だけどな^^」
高「何やサトまで〜 p_q」
もちろんきいちゃんと2人で過ごす時間が大好きだ。
それでも、高野と中ちゃんを混ぜて、こうやって4人でバカ出来るのもすごく楽しい。
いや、3人で高野をいじるのが楽しいのかな^^
=====
卒業式も終わり、スーツのままカラ館で4時間!
これでこのメンツでカラオケ来るのも今月で3回目だ。
4人とも歌うの好きだから、4時間なんて足りない位。
一番意外なのは、普段はおとなしい中ちゃんの歌う曲が激しいところ。
Linkin Parkのあの叫ぶ様な歌い方、完璧にこなせるからスゴイ^^;
そして高野は、Linkinの曲の中のラップ部分を担当して、息のあったセッションを毎回披露してくれる。
俺ときいちゃんは特にセッションしないから、たまに羨ましく思ったりしちゃう自分がいるんだ。
でも今日は違った。
霧「ゆう。」
俺「ん?」
霧「一緒に歌いたい曲あんだけど。」
俺「え!?うん!何?」
霧「贈る言葉。」
俺「おお^^ 良いじゃん^^」
霧「卒業っつったらこれだもんな^^」
贈る言葉なら何度か歌った事もあるし、それはそれで良いけど、きいちゃんと一緒に同じ曲を歌うって事がすごく嬉しい^^
高「何歌うん?」
俺「贈る言葉^^」
高「なになに〜、俺達泣かすつもりか〜^^」
中「高野君の泣き顔きっと笑えるかもね^^」
高「言っとくけどなぁ、俺そう簡単には泣かへんで。」
霧「ゆう、入れて良い?」
俺「え・・・!?あ、ああ。」
霧「どした・・・?」
俺「い、いや・・・(一瞬ビビった^^;)」
霧「え・・・ああ!クッハハハハハハ!!お前どんだけ^^」
高野も中ちゃんも「ん?」って顔してたけど、きいちゃんはちゃんと分かってた。
「ゆう、入れて良い?」って・・・あの時の言い方と全く同じだったから一瞬ビビった大バカな俺。
・・・そういえばここ4日してないな・・・。
そんな事をふと考えてる内に、曲が始まった。
きいちゃんに促されて、マイクを持って準備した。
暮れ〜なずむ〜街の〜
ひか〜りと 影の〜中
去り〜ゆく〜あなたへ〜 贈る〜言葉〜
悲しみ〜こらえて〜微笑む〜よりも〜
涙〜枯れるまで〜泣く方が良い
人は〜悲しみが〜多い〜ほど〜
人には〜優しく〜出来るの〜だか〜ら〜
さよな〜らだ〜けでは〜
寂し〜すぎ〜るから〜
愛〜する〜あなたへ〜 贈る〜言葉〜
俺はきいちゃんに肩を抱かれながら歌ってるうちに、この4年間の色んな出来事を思い出していた。
大学での出来事
バイト先での出来事
大変だった就職活動
きいちゃんとの初めての旅行
苦しい時もたくさんあった。
悲しい時もたくさんあった。
それでもいつもきいちゃんはそばにいてくれた。
親友として、恋人として、きいちゃんにはいつも支えられっぱなしだった。
武田鉄矢は「信じられぬと嘆くよりも、人を信じて傷つく方が良い」って歌ってる。
あの浮気未遂事件の時、俺はきいちゃんの事を一瞬だけだけど、信じられないと嘆いた。
でも、その日からきいちゃんをもう一度信じて、この日まで傷つく事はなかった。
色んな事が駆け巡り、いつしか俺の目は涙で溢れて歌詞が読めなくなってた。
それに気づいたきいちゃんは、肩に回した手にギュッと力を込めて、俺の体をもっと引き寄せてくれた。
もう俺は歌うのをやめて、きいちゃんに体を委ねるしか出来なかった。
じんわりと暖かい涙が滲む。
やがて曲が終わり、マイクを置いたきいちゃんは、俺の事を抱きしめてくれた。
逞しい胸板と腕と共に、きいちゃんの優しさに包まれて、すごくホッとする。
高「おいおい〜そこあっついなぁ〜^^」
中「里中君泣いちゃったの?」
霧「感極まっちったみたい^^」
中「純粋だよね、里中君って^^」
俺「んん・・・ゴメン・・・一人だけ何かハズい・・・」
高「いや、男も堂々と涙見せれなきゃアカンからな^^」
中「そうだよ^^ 自分もちょっとだけ泣きそうだったし。」
高「実は俺も・・・^^」
俺「・・・ンフ^^」
霧「俺も歌いながらこらえてたんだぜ^^」
高「ほな俺達み〜んな泣いたっちゅーことや。」
この4人は、一生大切な仲間だ。
=====
カラオケもそこそこに、俺達4人は予約してた居酒屋の個室で飲み会。
霧「高野、カンパイの音頭とれよ。」
高「おっしゃ、任しときぃ。エヘン!え〜っと、俺達4人が無事卒業出来た事を祝い、そして、いつまでも付き合える仲間でいる事を願いまして、乾杯!」
「かんぱ〜い!!」
=====
2時間を過ぎた頃には、高野は完全に出来あがってくだを巻いてた。
中ちゃんもいつになく酔っ払って、かなり饒舌に。
高「せやからぁ〜、俺も彼女欲しいんやけどなぁ〜、だ〜れも相手にしてくれへんねん。」
中「高ちゃんは〜すぐ笑いとりに行くのがいけないんだよっ」
高「なんでや〜?おもろい男がモテんのは常識ちゃうん?」
中「高ちゃんはや〜り〜す〜ぎ〜な〜の!だから前の彼女にフラれたんでしょ〜」
高「うわ〜ん( p_q) 誰か僕を愛して〜」
酔っ払いオヤジみたいに話す高野と、酔っ払ってるけど的確な指摘をする中ちゃん。
この2人のヘベレケトークを見てるだけで、俺もきいちゃんも爆笑しちゃう。
良い酒の肴になるんだ。
俺「ちょっとトイレ。」
俺は一旦席を立って、用足しへ。
トイレまでちゃんと歩けたから、まだそこまで酔っては無い。丁度良い感じで気分が良い。
おしっこを放出し、すっきりした俺は、ちょっと外の空気を吸う為に店の外へと出て行った。
するとそこにはきいちゃんが。
霧「よ^^」
俺「きいちゃんも涼みにきたの?」
霧「うん。あいつらもう自分たちの世界でくっちゃべってるし^^;」
俺「ンク^^ 俺あんなに酔った中ちゃんも初めて見た^^」
霧「ホントだよなぁ^^ いつもこじんまりとしてんのにな^^」
俺「こじんまりって(笑)」
近くのベンチに座って、外の少し冷たい風に当たる2人。
店の中は少し暑かったから、すごく快適。
霧「そういやさ、さっきカラオケで泣いたの、どして?」
俺「え・・・うん・・・色々思い出しちゃって。」
霧「大学生活の事?」
俺「それもある。あと、きいちゃんとの事も色々。いっつも一緒にいて支えてくれたから無事に卒業出来たんだなって思った。」
霧「それは違うよ。」
俺「え?」
霧「俺がお前を支えたんじゃなくて、お互いを支えあってきたから無事に2人とも卒業出来たんだよ。」
街灯に照らされたきいちゃんの顔が、凛々しく浮かび上がる。その眼の中には、優しさがあふれまくってた。
するときいちゃんは、ベンチに置かれた俺の手に、自分の手を置いた。
霧「これからも支えてくれますか?」
俺「え・・・はい!きいちゃんも、支えてくれますか?」
霧「誓います。」
きいちゃんはそのまま、俺の手を口元に持って行って、俺の手の甲に軽くキスして、満面の笑みを向けてくれた。
霧「そろそろ戻る?^^」
俺「うん^^」
<続きます。>