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2号室-25
  E-MAIL  - 13/5/24(金) 17:00 -
2月下旬の土曜夕方。俺は夕飯の買い出しに行く準備をする。

結局シュウが泊まりに来た次の週から仕事が徐々に忙しくなり始め、あまりシンともシュウとも関わっていなかった。

それでも、家にいる時は俺は無意識の内にリビングで活動するようになっていた。

おかげでリビングの暖房を使うので先月ちょっと電気代が高くなっている。

ソファに座ってテレビを見たりしてると、風呂上りのシンが腰にバスタオルを巻いたままで隣に座る。

すげー癒される。トシとは違う感じだ。

なんだろう俺の好み変わったのかな。ムラムラしかけている自分がいる。

濡れた体のまま、全裸のシンを抱き寄せたかった。が、自制する。

シンは全然そんな俺の様子に気づかずに熱を冷ましているので、

「風邪ひくぞ。」

なんて言いながら俺は席を立つ。これ以上はちょっと離れた方が良い。

シンの方も俺に懐いてるっぽかった。俺と同じように、一緒の時間を過ごそうとしている気がする。

これは俺の勝手な解釈かもしれないけど。


そんな事を考えながら家を出る。お隣さんと出くわす。

隣は確か学生くらいの男二人が住んでる。ここもルームシェアかな。

片方は身長が大きいのだが、いわゆる草食系な感じであまりタイプじゃない。でもまぁ良さそうな人だ。

もう一人の方はシンと同じ背格好の童顔の子である。

今日会ったのは童顔の方。整ってる顔つきだけど、やっぱり俺はこういうタイプには欲情しなかった。

頭を下げると向こうも下げる。お互い騒音出さないし、これからもこんな近所付き合いだろう。

向こうにも向こうの共同生活があるんだろうな。


俺はスーパーで買い物を済ませる。ちょっと多めに買ってしまった。

駅前のバスロータリーにバスが何台か来て、乗客が降りていく。

その中にシンの姿があった。

「シン!」

俺が話し掛けるとシンが顔をこっちに向ける。

「あ。。」

なんとなく元気がない。

「もう家帰んの?」

「うん、帰るよ。」

俺らはそのまま一緒に帰る。駅から近かいからすぐ着くが、その間も沈黙だった。お腹空いてんのかな。

「飯どうすんの?」

「あー。。なんも考えてなかった。」

「じゃあ俺今日作るよ。」

「え、いいの?」

「うん、買いすぎたし。親子丼とかで良い?」

「うん、ありがとう。」

そう言って家に着くとシンタロウは部屋にすいーっと戻ってパタンと扉を閉じた。

話、聞いた方がいいのだろうか。


飯を作ってる間に風呂に入ってもらったりして、まぁ夕食の時間。

親子丼を食いながらシンに聞いてみる。


「元気なくない?就活?」

「や、就活はそんな。普通だよ。落とされたりもするけど。」

元気がないことは確かなようだ。

「そっか。まぁほかにもあるならいつでも俺聞くよ。」

というとシンは黙って頷く。

それからしばらくテレビを見ていると再びシンが

「あのさ、」と言う。

「うん?」と俺が促す。

「迷惑にならないといいんだけど」

俺は頷く。テレビの音量を少し下げる。

「俺の友達がね、ちょっと病気してて。そこの病院に入院してて。」

近所に総合病院があった。シンが降りてきたバスは確かにそこを経由している。

「で、容態が、その、最近あんまり良くないらしいんだ。」

俺は色々思い出してみる。土日出かけていること、年末こっちに残ったこと、ルームシェアの希望理由の「家庭の事情」。

「あー、そうなんだ。それで。。」

「うん。そう。」

俺はなんて言おうかと迷っているとシンが

「就活の悩みとかは先輩とか学校の人に言えるんだけど、この話はちょっと誰にも言えなくて、で、今日話したんだけど。迷惑じゃなかった?」

「全然迷惑じゃねーよ。むしろシンが落ち込んでる時に理由がわからない方が辛い。話してくれて良かった。」

ちょっと言い方きつかったかなと顔を見ると、シンは笑って

「そっか。なんか今までそう思ったことあった?」と聞く。

「うーんまぁ何度かあったけど、多分違う理由で落ち込んでた時もあっただろうしな。
これからもなんかあったら話してよ。無理にじゃなくていいけど。」

「うん、わかった。ありがとう。」

そう言って

「カズさんもなんかあったら俺に話していいからね。」

と言って笑った。

引用なし

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