ヒロヒサさん、希望さん
コメントありがとうです。
>必ず完結させてくださいね。
俺は途中で放り出すことはしません。
よかったら最後まで付き合ってください。
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部屋に着くと、
『濡れさせちゃって悪い。』そう言ってバスタオルを貸してくれた。
『あ、ズボンも穿き替える?スウェットあるから。』
「大丈夫。」
『じゃー俺、着替えちゃう。』そう言って、俺の目も気にせず、
堂々とパンイチになり、スウェットに履き替えようとした。
そんな光景を目の当たりにすると、
俺の目は、パンツに収まったモッコリした股間に自然に吸い寄せられてしまう。
バスタオルで髪の毛を拭くふりをしながら、気づかれないようにチラ見する。
でも着替えが終わってしまうと、もうモッコリも見られなくなってしまう。
斎藤くんの裸は親睦会の風呂でも見たように、胸筋が厚く腹筋も割れている。
俺はあの体を思い出し咄嗟に、
「体、鍛えてんの?ついでにTシャツも脱いで、ちょっポーズとってみてよ?
お願いします、イケメンさん。笑」
『うん、こっちへ来てからジムへ行ってる。
折角、褒めてくれたんだからリクエストに応えちゃおうかな?
でも自信はない、それでもいい?』
「全然、O・K」
Tシャツを脱ぎかけると、最初に割れた腹筋が目に入った。
完全にパンイチの状態になった姿を目の当たりにすると、
明かりに照らされる分厚い胸筋、ピンク色した乳首に目が吸い寄せられてしまう。
下半身も含め、鍛えられた体に見惚れてしまった。
なにが自信ない、なんて言うんだよ、俺は完全にイカれてしまったよ。
それだけで済めばいいのに、俺はまたまた、とんでもない事を言ってしまった。
「折角だから、後ろ姿でもいいからボクサーも脱いでくれる?」
『それは、ダ〜〜メ。』
「分かった、サンキュ、やっぱり凄いよ。じゃーもう4年間も?」
『うん、そうだよ。』
これだけの会話でも十分時間は稼げた。
俺の一方的なエロい考えも知らずに、素直に応じてくれてアリガト斎藤くん。
『なんか飲む?』
「なんでもいいよ。」
『動機(入社)って、なに?』
俺は隠してもしょうがないと思い、経緯を話した。
『へぇー、じゃー将来は社長なんだ?』
「でも、なんにも勉強してこなかったから無理だと思う。」
『イヤイヤ謙遜しちゃって、でも10年間って、すっげーお父さんだね。』
*父は大学3年の時、父親(俺のお爺ちゃん)が亡くなってしまい、
卒業して直入社したので色々と大変だったんだと思う。
だから俺にあんなこと言ったのかもしれない。
『ところでさ、も、一回聞くけどさホントは彼女いるっしょ?』
「う〜ん、だから前も言ったじゃん、いねーよ!」
もうこんな質問は止めてくれ!そんな思いで強く言った。
自分がゲイだと自覚してから、何度も何度も体験してきたこの瞬間。
彼女いるの?好きなタイプは?
そんなことを聞かれるたび、適当な嘘で誤魔化してきた。
斎藤くんにだって彼女がいた、と嘘をついてしまった。
これから斎藤くんとは長い付き合いになるだろう。
会えば(彼女できた?)とかの話を振られることもあるだろうし、
だったら、最初に知っておいてもらった方が気が楽だと思った。
でも、アウティングされてしまう危険性もある。
斎藤くんとは会ったばっかりだけど、どこか心を許せる人だ。
喋っていても、あっという間に時間が過ぎて行ってしまう。
俺のことを単なる同期と考えてるなら、親睦会だけで終わるはずだ。
部屋にだって案内することはないはずだ。
それにさっき俺に(なんか話をしたくなったから)と、
家から帰る途中なのに、わざわざ会ってくれたたことも嬉しかった。
斎藤くんの 心 ん 中 に 飛 び 込 み た い 。そう思った。
思い切って【 ゲ イ 】であることを打ち明けた。
ちょっと沈黙が続いた。
僅か数秒の沈黙さえ、長い時間に感じてしまう。
『えっ、マジ? 嘘だろ?からかってんの?そんな風には見えないし。』
驚きと興奮を隠せない様子でビックリした表情をみせた。
「からかってなんかないよ、それにそんな風って?」
『あっ、それはサークルの先輩なんだけどさ、普段は気にならないんだけど、
飲みの時なんか、女のような言葉を使うからギャップがあり過ぎて、
でも岡田くんはそんな風に見えなかったから、そう思っただけ。』
「ふぅ〜ん、カムアウトしてたの?」
『それは俺には分かんないよ、2年先輩だからさ。でも知ってる人もいたよ。
後輩の面倒見がよくて、人の悪口なんか言わないので皆なから慕われてた。
俺も先輩には良い印象しか持ってないよ、すっげー良い先輩だったもん。』
「そうなんだ?
俺だって、こんなこと言ったのは初めてだし、
斎藤くんだったら隠す必要もないと思ってさ。
別に嫌だったら嫌だって言ってもいいよ。その方がスッキリするし・・」
『なぁ、なんでそんなこと言うんだよ。
別に嫌だなんて思わないよ。まぁビックリしたけど。
でも自分のこと、そんな風に言うのは良くないよ。
ホモとか、そうじゃないとかは関係ないと思う。
俺がなんでサークルの先輩に良い印象しか持ってないのか分かる?』
斎藤くんの言ってることは良く分かる。
でも今の俺は、、、。
それに俺はホモという言葉が大っ嫌いだ。
「あのさ、ホモじゃなくゲイだよ。」
『えっ?ホモとゲイってどこが違うの?』
「う〜ん、良く分んないけど、ゲイっていう言葉の方が一般的だと思う。」
『へぇ〜そうなんだ?』
『あっ、でも俺のこと少しは信用してくれたから言ってくれたんでしょ?
それも俺としてはかなり嬉しい。』
『一個だけ聞いていい?嫌だったらスルーしても良いよ。
俺は動画(AV)も観るけど、もしかして俺の裸とかでも興味あんの?』
「あっ、いきなり何言い出すんだよ。
それって予防線張ってんの?
大丈夫だよ、タイプじゃないから襲ったりしないから。」
『タイプじゃない?襲う?そっかぁ・?』その声は沈んだように聴こえた。
【ホントは大好きなのに。】それを言えない自分に苛立ちさえ覚えた。
もう何か月も付き合ってるなら、本音を言って断られても
(冗談だ)とか言って笑い飛ばせるかもしれないが、知り合ってまだ一週間だ。
これから同じ職場で働く同僚に、興味あんの?って聞かれて、
「ハイ、興味あります。ヤリたいです。」なんて言えるわけないじゃん。
内心図星であったことを、無理に隠そうとした。
でも斎藤くんは、さっきと同じようにTシャツを脱いで上半身裸になった。
ん、んぅ、な、なんで裸になったんだ?
俺はリクエストなんかしてないよ?
なに考えてんだよ?
目的はなんだよ?誘ってんのか? 俺とやってもいいのか?
まさかノンケがそんな事しないよな?
じゃーなんで裸になったんだよ!
スウェットのモッコリを凝視して、どうしようもない衝動にかられてしまった。
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*俺が自分の思いとは裏腹に拒否した理由は彼が「ノンケ」だということ。
タイプだし、凄く話も合うし、良い奴だ。(やりたい)と、思うのは当然だ。
ただ思い(好き)を伝えても、自分が望むような付き合いができるとは思わない。
好きという感情は捨てきれないが、これから会社の同僚として接していく上で、
より良い友人関係を築くことの方が大事だ。
結果、斎藤くんの前では(興味ない。)ということを、装うなければならなかった。
それがこの先、自分自身を苦しめる結果になってしまうとは・・・。